2024.09.15
千葉ロッテマリーンズは、社会貢献プロジェクト「MARINES LINKS」の活動として、認定NPO法人Being ALIVE Japanが運営する「TEAMMATES(チームメイツ)」事業に参画しています。長期治療を必要とする子どもの自立支援とコミュニティ創出を支援するため、マリーンズの選手たちが中心となり、パートナー企業である株式会社リンクス・ビルドと共に取り組んでいきます。今年は中学1年生の山崎 悠成(やまざき ゆうせい)くんが入団しました。

9月8日(日)ついに始球式の日がやってきました。いつものようにZOZOマリンスタジアム球場正面に集合したYUSEI選手。いつもは少し緊張した面持ちで最初の挨拶をしますが、この日はどこか晴々としたスッキリとした表情に感じました。
まずは、吉井理人監督のところへ挨拶に向かい「頑張ってね!」と激励を受けます。その後、1塁側ベンチへ移動し練習見学をしつつ、チーム広報の仕事に取り掛かります。マリーンズファンの皆さんからの「写真が上手」「選手の良い表情を引き出してくれる」などのコメントも嬉しかったようで、もっと良いものを!と写真の構図も事前に考えてきてくれました。イメージをスケッチブックに描き、準備万端です。


選手たちも始球式があることを知っているので、次々と激励に訪れます。坂本光士郎投手からは「緊張してる?」と問われ、YUSEI選手が「緊張してる」と答えると、坂本投手「大丈夫、コントロール悪くても俺試合で投げられてるから、思い切っていければ大丈夫!」と、このポジティブアドバイスには隣にいた鈴木昭汰投手も大爆笑。このやりとりで、確実にYUSEI選手の緊張がほぐれました。間違いなく、今までの活動のなかで最も自分からコミュニケーションをとっていたように思います。
もちろん、“YUSEI広報”としての仕事も忘れません。坂本投手と鈴木投手からは、肩を組む仲良しショットをゲットしました。


幸先良いスタートを切ったYUSEI広報は、少しずつ調子を上げていきます。横山陸人投手にはボールを持ってもらい投球ポーズ、菊地吏玖投手にはなぜかキャッチャーミットを手渡し捕球ポーズ、中村奨吾選手には走るポーズ、そして田村龍弘選手と佐藤都志也選手には一緒に自撮りをリクエストするなど完全に広報エンジンがかかりました。菊地投手からは「(写真撮って良いですか?と)いつ声をかけられるか待ってたよー!」と、待望のYUSEIカメラだったようです。
横山投手「俺もそうだけど、マウンドにあがったら思いっきり投げるだけ。始球式頑張ってね」、中村選手「暑いから体調には気を付けてね」とチームメートたちからたくさんの言葉をかけてもらいました。






緊張していると言っていたのでごはんもあまり食べられないかなと思っていましたが、白米に担々麺に煮魚にトーストといつも通りしっかりとエネルギー補給。大物の素質を感じました(笑)食堂でごはんを食べていると、小島和哉投手も同じテーブルへ。キャッチャーに向けてまっすぐ投げることを目標にしているYUSEI選手へ向けて、「真正面に投げるんじゃなくて、斜め45度くらい上をめがけて投げると良いよ。後はやる気だけです!」と小島投手からもアドバイスをもらいました。


本番前最後の練習を室内練習場で行いました。「指先にギュッと力を込めて、顔より前でボールを押し出すように」「投球位置に着いたら、しっかり一呼吸おいて焦らずに投げよう」とマリーンズ・ベースボールアカデミーの武藤一邦コーチと最終確認をします。練習中も笑顔が多くみられました。グラウンドに行く直前の控室では、「今はやってやるぞ、って気持ち」と心境を明かしてくれました。


ついに本番の時がやってきます。YUSEI選手は益田直也投手と共にマウンドへ。益田投手は本番前から、「大丈夫!」「頑張ろうな!」とずっと声をかけ続けてくれました。
車イスを降りると、武藤コーチの教え通り焦らず落ち着いた様子で投球位置へつきます。そして、球審のコールを受け投じた一球は、まっすぐにスタメンマスクを被った佐藤選手のもとへ届いたのです。球場全体が温かい大きな拍手に包まれました。
始球式を終えてベンチ横へ戻ると、吉井監督がベンチから出てきてグータッチ、そしてYUSEI選手の頭をポンポン。控室に戻る途中にも、国吉佑樹投手やグレゴリー・ポランコ選手が「お疲れさま!」「良かったよ!」と声をかけてくれました。
YUSEI選手「ぶっちゃけ、めちゃくちゃ緊張しました。でも楽しかったです!」と満足そうに話してくれました。武藤コーチも「最高に輝いていたよ!」と大絶賛の投球でした。


この日の試合は見事、逆転勝利!YUSEI選手の始球式での姿がチームに勢いをもたらしました。
チームメートたちと勝利のハイタッチ、さらにはヒーロー選手となったネフタリ・ソト選手、藤原恭大選手と記念撮影にもおさまることができました。そして1塁ベンチから控室に戻ろうとすると、「いつも応援ありがとう!始球式もナイスピッチング。YUSEI選手のためにこれをプレゼントするね」とソト選手がサインを入れてヒーローマーくんを手渡してくれたのです。驚きと嬉しさで、一瞬言葉を失うほど夢見心地だったYUSEI選手。「ヒーローマーくんって意外と重いんだなぁ…」とソト選手からもらったヒーローマーくんをギュッと抱きしめて、ZOZOマリンを後にしたのでした。


YUSEI選手は先天性心疾患のため心臓に負担をかけないように、周りの友達と同じように体を動かして遊んだり、体育の授業を受けたりできず悔しい想いもたくさんしてきたと思います。それでも、「始球式でキャッチャーに向かってまっすぐボールを投げる」という目標を掲げ、この活動をきっかけに初めて野球の練習に取り組みました。厳しい運動制限があるなか、活動毎に武藤コーチから指導を受け自宅でも地道に練習に励んできました。
あの大舞台で有言実行したYUSEI選手の姿は、チームメートたちはもちろん多くの方々に勇気を与えたに違いありません。YUSEI選手、本当にお疲れさまでした!

TEAMMATESとは
球団の社会貢献プロジェクトMARINES LINKSは、認定NPO法人Being ALIVE Japanが企画・運営する「TEAMMATES(チームメイツ)」事業に参画しました。今年で3年目の取り組みです。パートナー企業である株式会社リンクス・ビルドと共に、長期治療を必要とする子どもの自立支援とコミュニティ創出の支援を行います。
中学1年生の山崎悠成くんは、先天性心疾患で長期療養中です。2024シーズンが終了するまで月1,2回、ZOZOマリンスタジアムやロッテ浦和球場で活動をします。